シミとそばかすの違いをご存じでしょうか。
どちらも同じ斑点に見えますが、斑点の大きさや場所、斑点が現れた時期などによって、シミかそばかすかを判別できます。
また、シミとそばかすではそれぞれ原因が異なり、症状を悪化させないためには適切な治療が必要です。
この記事では、シミとそばかすの違いと見分け方、ケア方法などをご紹介します。
シミとそばかすは何が違うの?
そばかすもシミの一種です。ここでは、シミとそばかす、それぞれの原因についてご説明します。
- シミとは
シミができる最も大きな理由は紫外線です。紫外線を浴びることでシミの原因となるメラニン色素が過剰に生成され、色素が沈着した結果、シミができます。そのほか、ニキビ跡の炎症、老化、ストレス、睡眠不足や栄養不足による肌のターンオーバーサイクルの乱れなどもシミができる要因です。
ひと口にシミといっても、さまざまな種類があります。主に紫外線ダメージの蓄積で加齢に伴い発生する「老人性色素斑」や「脂漏性角化症」、ニキビ跡の炎症などが原因の「炎症後色素沈着」、ホルモンバランスの乱れが原因の「肝斑(かんぱん)」などです。これらはいずれも後天性のシミで、紫外線ダメージの蓄積や加齢、生活習慣の乱れなどの影響を受けて発生します。
- そばかすとは
そばかすもシミの一種で、正式には「雀卵斑(じゃくらんはん)」といいます。ほかのシミとは違って、そばかすができる主な原因は遺伝です。
幼少期から皮膚に褐色の斑点が出始め、思春期以降や妊娠中に色が濃くなりやすい傾向にあります。その後、年齢を重ねるにつれて斑点の色が薄くなることがあるのも、そばかすの特徴です。紫外線の影響を受けて、悪化することもあります。
ただし、稀に大人になってから紫外線ダメージなどの影響で発生するそばかすもあります。こうした後天的にできるそばかすは、年齢とともに色が濃くなる傾向にあるのが特徴です。
シミとそばかすの見分け方
シミとそばかすを見分ける際の主なポイントを5つご紹介します。
「自分の顔にある斑点がどちらなのかわからない」という人はチェックしてみましょう。
- 大きさはどれくらいか?
顔にできているシミが1~4ミリ程度の小さな斑点であれば、そばかすの可能性があります。4ミリよりも大きいものはそばかす以外のシミであることが多く、例えば30代以降の女性によく見られる肝斑は、数センチ単位でできます。
- 顔のどこにできているか?
シミの多くは顔に左右非対称に現れます。ただし、肝斑の場合は目の周辺を避けて頬の辺りに左右対称に出ます。
そばかすは頬や鼻の周辺など、顔の広い範囲に散らばるようにして現れます。紫外線が当たる肩や腕など、顔以外に出ることもあります。
- いつからあるか?
後天的に発生するシミは、30代以降にでき始めるのが一般的です。
斑点の現れ始めた時期が幼少期であれば、遺伝性のそばかすでしょう。思春期以降に斑点の色合いが濃くなり、その後薄くなっていないかどうかもチェックしてみてください。
成人になってから発生したものでも、斑点が1~4ミリ程度の小ささで、頬や鼻の周辺に細かく散らばるようにできていたら、後天性のそばかすといえるでしょう。
- 両親にそばかすはあるか?
両親のどちらかにそばかすがある場合は、そばかすの可能性が高いです。
- 肌は白いか?
色白の人はそばかすが出やすいといわれています。
シミとそばかすのケア方法
顔にできたシミやそばかすは、きちんとケアをして悪化させないことが大切です。
また、シミができないに越したことはありません。予防についても合わせて知っておきましょう。
- シミとそばかすは予防できる?
シミと後天性のそばかすを予防するには、メラニン色素が過剰に生成されないようにすることと、肌のターンオーバーのサイクルが乱れないようにすることが大切です。
そのためにも、紫外線はできるだけ浴びないように、日焼け止めを塗るなどの対策を行いましょう。
また、肌のターンオーバーのサイクルが乱れると、過剰に生成されたメラニン色素を排出できなくなり、それが蓄積されてシミになります。食生活に気をつけたり、良質な睡眠をとるようにしたりして、新陳代謝を良くするよう心がけましょう。
一方、先天性のそばかすは遺伝によってできるため、完全には予防できません。症状を悪化させないように注意が必要です。
- シミとそばかすを悪化させないポイント
シミとそばかすのケア方法は、基本的には同じです。
紫外線を浴びないように日傘を使用するほか、日焼け止めもしっかり塗りましょう。ただし、SPF値の高い日焼け止めを常用すると肌に負担がかかるので、普段使いにはSPF10~20程度の日焼け止めがオススメです。
そばかすは女性ホルモンのバランスが崩れると悪化することがあります。ストレスをためないように注意するほか、規則正しい生活と栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
また、代謝をサポートしてくれるビタミンCやビタミンEは積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱いという性質があるため、いちごやみかんなどの果物のほうが効率よく摂取できます。ビタミンEを豊富に含むのはナッツ類や植物油、魚介類、アボカドなどです。
なるべく肌に刺激を与えないように、日々の洗顔やスキンケアにも気をつける必要があります。メイク落としと洗顔は優しく行い、洗顔後はしっかり保湿しましょう。
メラニンの生成を抑制する働きがある美白化粧品もオススメです。ポイントは紫外線指数が高くなる夏だけではなく、年中使い続けること。肌が乾燥していると美白成分が浸透しづらいため、乾燥肌の人は保湿成分入りのものを選ぶと良いでしょう。
シミやそばかすは治る?
シミ・そばかす対策には自宅で行えるケア以外に、皮膚科や美容クリニックを受診するという方法もあります。
- 皮膚科や美容クリニックで治療は可能
一度できたシミやそばかすをセルフケアで完全に消すのは難しいです。地道にケアを行い少しずつ薄くしていくことはできますが、時間はかかります。
皮膚科や美容クリニックでは、シミとそばかすの治療を行っています。完全に消すことはできませんが、短時間で気になるシミやそばかすを目立たなくすることができます。
- 治療方法の例
皮膚科や美容クリニックで受けられる治療方法のうち、塗り薬と施術についてお伝えします。
・塗り薬を処方してもらう
塗り薬として処方される主な成分は「トレチノイン」と「ハイドロキノン」の二つです。
トレチノインにはメラニンを体内から排出する働きがあるほか、古い角質を落としたり、皮脂の過剰分泌を抑えたりする効果があります。
ハイドロキノンには、メラニンの生成を抑制することで肌を白くする効果が期待できます。
ただし、体質に合わない場合はアレルギー反応を起こすおそれがあります。
・美容クリニックで施術を受ける
シミやそばかすを目立たなくする施術には、「フォトフェイシャル」や「レーザー治療」「プラセンタ療法」などがあります。
フォトフェイシャルとは、カメラのフラッシュのような優しい光を肌に当てることで、皮膚に沈着しているメラニンにダメージを与えて、メラニン色素を浮き上がらせる施術です。
この施術では、コラーゲンを生成する線維芽細胞の働きも活性化できるため、加齢による肌の弾力不足といった悩みも同時に解消できます。
レーザー治療とは、シミやそばかすが気になる部分にレーザーを照射することで、原因となるメラニン色素を破壊する施術です。フォトフェイシャルに比べて、ピンポイントのシミの治療に適しています。
シミとそばかす、どちらも紫外線対策は欠かさずに
シミやそばかすは、できる原因こそ異なりますが、ケア方法はほとんど同じです。
年齢を重ねるにつれて、肌のターンオーバーのサイクルは次第に遅くなり、メラニン色素が沈着しやすい状態になっていきます。一年を通して紫外線は出ているので、季節を問わず、日頃から紫外線対策を行うことが重要です。
皮膚科や美容クリニックで治療を受ければ、シミ・そばかすが目立たなくなる可能性があります。医療機関を受診するか、セルフケアを行うか、自身に合った方法を選択し、美肌を目指しましょう。


この記事の監修者
ドクター小池クリニック 院長
小池佳嗣 先生