トラネキサム酸が肝斑に効くのはなぜ?メカニズムと治療のポイント

トラネキサム酸が肝斑に効くのはなぜ?メカニズムと治療のポイント

2017年12月7日

この記事の監修者
ドクター小池クリニック 院長
小池佳嗣 先生

頬や額に、ぼんやり薄茶色く広がる肝斑(かんぱん)。一般的なシミよりも広がりが大きく、30~40代の女性に多いといわれています。

肝斑ができる原因には女性ホルモンも影響しており、ほかのシミに比べて対策しにくいという特徴があります。そこで、予防や改善に力を発揮してくれるのが、美白有効成分として厚生労働省にも認められている「トラネキサム酸」です。

この記事では、トラネキサム酸が肝斑に効く理由、服用する際の注意点などについてご紹介します。

 

肝斑に効果のあるトラネキサム酸とは?

トラネキサム酸とはどのような成分を持つのでしょうか。肝斑に効く理由をご説明します。

 

  • トラネキサム酸はアミノ酸の一種

トラネキサム酸は人工的に合成されたアミノ酸の一種です。

炎症を抑えたり、固まった血液を溶けにくくしたりする作用があります。医療機関では湿疹、蕁麻疹の治療薬や止血剤など、幅広い用途に用いられ、「トランサミン」という医薬品名称で処方されています。

メラニン色素の生成を抑制する作用もあり、厚生労働省が認可した美白有効成分(医薬部外品)でもあります。トラネキサム酸を配合したスキンケア用の内服薬も販売されています。

 

  • トラネキサム酸が効くメカニズム

トラネキサム酸が肌に良いのは、「抗プラスミン作用」があるためです。

プラスミンとは、アレルギーによる炎症を引き起こす酵素です。また、プラスミンのはたらきによって発生する「プロスタグランジン」という情報伝達物質は、「メラノサイト」というメラニン色素を活性化させ、シミの原因をつくります。

つまりトラネキサム酸は、肌荒れとシミに深く関わるプラスミンを、ブロックする作用があるのです。

 

トラネキサム酸は表皮に塗布してメラノサイトまで浸透させるより、内服して血流によって皮膚の深層に届けるほうが高い効果を発揮します。そのため、医療機関では内服薬として使用されるケースが多くみられます。

なお、皮膚科や美容クリニックでは、同じく美白効果のあるビタミンCやL−システインと一緒に処方されることがよくあります。

 

肝斑とシミを見分ける方法

肝斑は、肌トラブルの中でも完治するのが簡単ではありません。肝斑と通常のシミの見分け方、肝斑ができる原因や対策の違いについてお伝えします。

  • 肝斑とは

30~40代の女性によく見られるシミの一種です。月経や妊娠・出産の際に、女性ホルモンのバランスが崩れることで、できやすくなります。

紫外線などの外部刺激が原因となってできるシミではありません。ただし、外部刺激により肝斑が悪化することはあります。過度なストレスもホルモンバランスを乱すことがあるため、症状の悪化につながる可能性があります。

肝斑ができるのは50代頃までで、60代以降になると発症する人は減り、症状が出ている人でもシミが薄くなったり消えたりします。

 

  • 肝斑とシミの見分け方

肝斑とシミではできるメカニズムが違うため、どちらかを見極めて対策を行う必要があります。

肝斑の大きな特徴は、頬や額、口元の周囲に左右対称に現れることです。薄茶色で輪郭がぼんやりしていて、一見すると顔の一部分だけ日焼けしたようにも見えます。

また、肝斑に痛みやかゆみはありません。

女性ホルモンのバランスが影響するため、妊娠後やピルの服用後に現れたり、悪化したりしたシミは、肝斑の可能性が高いでしょう。

シミの主な原因は紫外線なので、紫外線対策をしていても改善しない場合は肝斑の可能性があります。ただし、肝斑の上にシミが重なってできるケースもあり、その場合は医師でも判別しにくいことがあります。肝斑向けの対策をしても改善されなければ、一般的なシミと考えられるでしょう。

 

トラネキサム酸の効果が現れる期間と注意点

透明感ある美しい肌を目指すために、トラネキサム酸をどのように活用すれば良いのでしょうか。

 

  • どれくらいで治療効果は現れる?

内服薬なら4~5週間で薄くなり始め、2カ月経過するころには十分な改善が期待できます。

市販の内服薬と皮膚科や美容クリニックで出される処方薬の主な違いは、トラネキサム酸の含有量です。

医師による処方薬の場合は、一日の摂取量にして最大で2000mgのトランサミン(トラネキサム酸)が処方されることがあります。しかし、市販薬の場合は一日でその半分に満たない量しか摂取できません。より早い改善を望むなら、医師に処方してもらったほうが効果的でしょう。

 

  • 副作用は?

トラネキサム酸は比較的安全性の高い成分と考えられています。確率は低いものの、食欲不振、嘔吐、胸焼けといった症状が現れる人や、重度なものでは、まれに湿疹を起こす人もいるため、体の状態を観察しながら服用しましょう。

特に注意が必要なのは、血栓がある人や高血圧の人です。妊娠中の女性は、血液の塊である血栓が通常よりできやすい状態となっているため、止血効果のあるトラネキサム酸を服用すると、血栓症になるリスクが高まります。服用する際には、念のため医師に相談してください。

 

  • シミと肝斑が同時に発生しているときは?

美容クリニックなどでの治療は、まずトランサミンなどでの肝斑治療を優先し、ほかのシミは後から対処するのが一般的です。シミはレーザー治療で消すことができますが、肝斑がある状態でレーザーを照射すると刺激で肝斑が悪化してしまうおそれがあるためです。肝斑の治療が可能なレーザーも誕生しているので、シミと肝斑の状態次第では同時に治療を行えるところもあります。

ただし、レーザーで肝斑やシミのメラニン色素を除去するだけでは、治療としては不十分で、新たなメラニン色素の生成を抑えなければ治療の効果は十分に現れません。

そのため、大部分のクリニックではレーザーのみの肝斑治療ではなく、トラネキサム酸の内服薬や美白クリームなどを併用して進める方法が取られています。

 

肝斑を悪化させないためのポイント

肝斑を悪化させると、メイクをしてもなかなか隠しづらくなります。注意点をしっかりと押さえ、肝斑の悪化を防ぎましょう。

 

  • ホルモンバランスの乱れを整えること

肝斑はホルモンバランスの乱れが主な原因で発症します。

肝斑の治療に効果的なトラネキサム酸はあくまで美白有効成分のため、ホルモンバランスを整える作用はありません。トラネキサム酸で肝斑の治療をしつつ、生活習慣を改善するなどして、これ以上肝斑ができない状態をつくりましょう。

 

ホルモンバランスを正常に保つためには、規則正しい生活が大前提です。夜更かしせずに良質な睡眠をとり、疲労を溜めないようにしましょう。

また、偏食や無理なダイエットもホルモンバランスを乱す原因となります。体調に異常が出ている場合は食生活を見直し、栄養バランスの取れた食生活を心がけましょう。

ストレスも大敵です。音楽を聞いてリラックスする、軽く運動する、瞑想するなど、心身を落ち着かせ、ストレスを溜めないようにしましょう。

 

  • 外から刺激を与えないようにすること

肌への刺激はメラニン色素の生成を促すきっかけとなります。

肝斑が気になると、つい指で触りたくなるかもしれませんが、こするなどの刺激を与えると悪化する可能性があります。また、肝斑以外のシミを作ってしまう原因にもなるので、できる限り触らないようにしましょう。

トラネキサム酸の外用薬を塗布するときも、強くこすりすぎないように注意してください。

 

  • 紫外線対策を行うこと

肌の大敵である紫外線は、肝斑を悪化させ、新たなシミを作る原因となります。日焼け止めや化粧品、帽子やUVカットのサングラスで、肌をしっかりとガードしましょう。

日差しの強い夏だけでなく、一年中、曇りの日でも警戒が必要です。

 

適切な治療、日々のケア、規則正しい生活で美しい素肌に

肝斑治療には3つのポイントがあります。

一つ目は適切に治療すること。トラネキサム酸の服用や塗布によるメラニン生成の抑制、レーザー治療によるメラニン色素の除去を通じて、新たな肝斑やシミの発生を抑えることができます。

二つ目はすでに現れている肝斑を悪化させないこと。肌への刺激を極力避け、念入りに紫外線対策を行いましょう。

三つ目は肝斑が発生する原因をできる限りなくすこと。ホルモンバランスの乱れを改善するために、生活習慣や食生活を整えましょう。今回ご紹介したポイントをしっかり押さえて肝斑を改善し、クリアな素肌を目指してください。


この記事の監修者
ドクター小池クリニック 院長
小池佳嗣 先生