乾燥でかゆみが生じる原因とは?かゆみを抑える方法と毎日の注意点

乾燥でかゆみが生じる原因とは?かゆみを抑える方法と毎日の注意点

2018年7月26日

この記事の監修者
ドクター小池クリニック 院長
小池佳嗣 先生

カサカサに乾燥した皮膚にかゆみを感じて、掻いてみたら止まらなくなった……そんな経験はないでしょうか?

肌が乾燥したときに生じるかゆみは治まりにくい上、掻き続けると肌の状態がボロボロに悪化してしまいます。肌のためには、乾燥してかゆみが発生する前に対処しましょう。

この記事では、乾燥によってかゆみが起きるメカニズムと、乾燥の予防、かゆみ対策についてご紹介します。

乾燥により肌のかゆみが生じる仕組み

かゆみがどのように発生するのか、詳しいメカニズムについてはまだわかっていませんが、皮膚内の肥満細胞から分泌される「ヒスタミン」という物質が原因の一つであると言われています。

 

皮膚の下には痛みやかゆみ、熱さ・冷たさなどを感じる知覚神経が通っており、知覚神経が刺激を受けると「神経ペプチド」という神経伝達物質が放出されます。この神経ペプチドが肥満細胞を刺激することでヒスタミンが分泌されるのですが、ヒスタミンには知覚神経が受けた刺激をかゆみとして脳に伝える作用があります。

 

皮膚は通常、皮脂(水分と脂分)のバリア機能によって外部からの刺激から守られており、特に刺激がなければヒスタミンが分泌されることはほとんどありません。

ところが、肌が乾燥すると、表皮から皮脂が失われてバリア機能が低下し、外部からの刺激に敏感になって、些細な刺激でもヒスタミンが分泌され、かゆみを感じやすくなります。

 

また、かゆみがある皮膚を掻くことで、さらに知覚神経が刺激されてしまい、「神経ペプチドが放出されて肥満細胞を刺激」→「ヒスタミンが分泌されてかゆみが発生」→「かゆいから掻いてしまい、また知覚神経を刺激」……というかゆみの悪循環に陥ります。掻けば掻くほどかゆみが悪化するのは、このメカニズムによるものです。

かゆみを引き起こしやすいケース

かゆみの発生にはバリア機能の低下と肌への刺激が関係しています。ここでは、バリア機能が低下する原因と、肌への外部刺激の実態についてご説明します。

 

  • 過度の洗浄

石鹸成分は皮脂の脂分を落とす働きがあり、ボディソープや洗顔フォームでの洗浄は、バリア機能を一時的に低下させてしまいます。バリア機能が落ちたところをタオルなどで強く擦ると、肌に負担をかけてしまうので、強い力での擦り洗いは控えるようにしましょう。

また、体を洗ったあとに40度以上の熱いお湯で流すのも、皮膚から皮脂を奪い乾燥させやすくする原因です。

 

  • 服との摩擦

乾燥してバリア機能の落ちた肌に衣類が触れると、かゆみが生じることがあります。肌への刺激となりやすいのは、主に硬い素材や毛羽立った素材です。ほかにはワイシャツなどに使う糊や洗濯時に残った洗剤も表皮を傷め、かゆみを生じさせる原因となります。

肌触りなどに問題がなくても、締めつけの強い衣類が肌を刺激してかゆみが誘発されることもあります。

 

  • 外部環境の影響

気温や湿度も肌のバリア機能に影響します。

冬場は空気が乾燥している上、気温が低く、あまり汗をかきません。そのため肌が乾燥して、かゆみが起こりやすくなります。夏場に冷房の効いた室内で長時間過ごすときも、肌が乾燥しやすいので注意しましょう。

 

かゆみを抑えるためにできること

かゆみを抑えるには、肌のバリア機能を回復することが大切です。どのような方法が効果的か、詳しく見てみましょう。

 

  • 肌に優しい成分で洗う

ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなどの保湿成分が含まれる石鹸類を使用すると、肌の乾燥を抑えるのに役立ちます。肌がダメージを受けている場合や敏感肌の人は、界面活性剤の含まれていない低刺激性の石鹸を使用しましょう。特に顔の皮膚はデリケートなので、洗顔フォームの成分に注意が必要です。洗浄回数が多い手も、肌に優しいハンドソープを使用することで乾燥によるダメージや肌荒れを防ぐことができます。

 

洗顔のコツは、石鹸類を手のひらでよく泡立ててから、泡で撫でるように洗うことです。体を洗うときも肌に優しい素材のタオルを使い、撫でるように洗います。ゴシゴシ擦るのは肌に強い刺激を与えてしまうので避けましょう。十分に泡立ててから洗えば、強く擦らなくても汚れはしっかり落ちます。

 

すすぎにはぬるめのお湯を使いましょう。熱いお湯は肌への強い刺激となる上、皮脂や他の保湿成分まで洗い流してしまうおそれがあります。流したあともタオルで強く擦らず、優しく水分を拭き取りましょう。

 

  • 保湿する

乾燥しやすい季節や入浴後には、保湿クリームなどでこまめにケアして肌のバリア機能を守ることが大切です。保湿成分には、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなどさまざまな種類がありますが、それぞれ保湿力の高さや特徴に違いがあります。

理想的な保湿剤は、肌に水分を補給し、油分で表皮を保護できるものです。水分と油分は本来、混じり合いませんが、セラミドや水素添加レシチン、スフィンゴ脂質といった保湿成分は、水分補給とバリア機能の回復を同時に行うことができます。顔などのデリケートな部分や乾燥しやすい手には、これらの成分が含まれた保湿クリームを使うと良いでしょう。

 

保湿成分の中には、グリセリンや天然保湿因子(NMF)など、空気中の水分を吸収して保湿するタイプもあります。ただし、このタイプは、周囲の空気が乾燥していると肌の水分を保つことができないので、乾燥の激しい冬場は効果が期待できません。ある程度湿気のある環境での使用に向いています。

 

  • 肌に負担の少ない服を着る

バリア機能の落ちた肌は、衣類による刺激でもかゆみが生じがちです。化学繊維の服は素材に含まれる化学成分が肌への刺激となるので、直接肌に触れるアイテムには綿や麻、絹などの柔らかい天然素材をおすすめします。天然素材でもウールはチクチクとした刺激を感じることがありますので、肌触りに違和感を覚えたら着用を避けたほうが良いでしょう。

 

サイズも大切です。フィットしすぎて締め付け感があると、服と肌との摩擦がかゆみにつながる可能性があります。縫い目やタグも刺激になりやすいところです。特に下着類は必ず肌に触れるので、かゆみや違和感が生じないよう、シームレスの下着を選んだり、タグを切り取ったりして着用しましょう。

 

  • 紫外線対策をする

紫外線による刺激もかゆみを引き起こすことがあります。4月から9月頃までは紫外線量が多くなりますので、日焼け止めや日傘、UVカットのシャツなどでしっかりと対策をしましょう。

夏場の強い紫外線は大きなダメージを与えがちなので注意が必要です。紫外線対策が不十分なまま夏を過ごすと、秋になっても肌のダメージが回復せず、空気が乾燥する冬になってから肌状態の悪化という形で現れることがあります。予防はもちろん、紫外線を浴びたあとのケアも忘れずに行いましょう。

 

  • 厚塗りメイクをしない

ベースメイクは保湿重視が基本です。十分な保湿をしないまま、ファンデーションやコンシーラーを厚塗りするのは避けましょう。肌の乾燥が気になるときは、メイクを薄めにすることが大切です。目の周囲が乾燥しやすい人はアイメイクを控えめにするなど、部位による肌質の違いにも気を使いましょう。

働いている女性は、肌の調子が多少悪くてもノーメイクで過ごすのは難しいものです。とはいえ、乾燥でかゆみが生じて掻いてしまえば肌を傷つけてしまい、肌荒れにつながります。かゆみや肌荒れに悩んでいる人は、ベースメイクでの保湿と薄めのメイクを心がけ、できるだけ肌のダメージを軽減しましょう。

 

  • 部屋を清潔にする

ハウスダストが外部刺激となり、かゆみを引き起こすケースも一般的です。アレルギー症状を持つ人の中には、ほこりっぽい場所にいると肌が乾燥して硬化し、強いかゆみを伴う湿疹を生じることがあります。部屋の掃除中に湿疹ができて、指や手が耐えられないほどかゆくなった経験のある人は、皮膚科で診断を受けましょう。湿疹を掻くと悪化しますので、症状が出たら薬でかゆみを抑える必要があります。

対策は「空気清浄機を使用する」「こまめに部屋の掃除をする」「シーツをまめに洗濯し、晴れた日には布団を干す」など、部屋を清潔に保つことです。

 

  • 加湿器で部屋の湿度を上げる

室内の湿度を50~60%に保つことで、肌の乾燥を予防できます。加湿機がない場合は、濡れタオルや水を入れたコップを部屋に置いたり、洗濯物を室内干ししたりすることでも一定の効果があります。

ちょっとおしゃれな加湿方法としては、観葉植物がおすすめです。植物は根から吸い上げた水を葉の気孔から空気中に放出して、部屋の中の湿度を調整してくれます。

 

  • ぬるめの風呂に短い時間入浴する

お湯が熱すぎると肌から皮脂が取り除かれてしまいます。湯船に浸かったりシャワーを浴びている間は実感しませんが、風呂からあがったあとに肌が急激に乾燥してかゆみを生じることがありますので、湯船のお湯の温度は40度未満にして、冷えないように15分程度浸かりましょう。

また、入浴後は保湿クリームでのケアを忘れずに行うことも大切です。

肌に優しい洗顔・入浴と保湿が乾燥によるかゆみを防ぐ

毎朝の洗顔や入浴などの際、強すぎる刺激を肌に与えてしまうと、脂分を必要以上に落としすぎ、バリア機能を低下させて肌を乾燥させてしまいます。ボディソープやハンドソープ、洗顔フォームなどの石鹸類は肌に優しいタイプを選び、熱いお湯の使用は避けましょう。タオルでゴシゴシ擦ることも肌には良くありません。乾燥によるかゆみを生じさせる前に、保湿クリームでケアをすることも大切です。

掻けば掻くほどかゆみは悪化します。そうなる前に、肌に優しい洗顔・入浴と保湿を心がけ、バリア機能を回復させてかゆみを抑えましょう。


この記事の監修者
ドクター小池クリニック 院長
小池佳嗣 先生