これって腱鞘炎!?手首や指の痛みをやわらげる方法を教えて!

これって腱鞘炎!?手首や指の痛みをやわらげる方法を教えて!

2018年7月20日

この記事の監修者
整形外科医
古屋貫治 先生

日常的な動作で急に手首や指が痛んだり、上手く動かせなかったりするときは、腱鞘炎になっている可能性があります。「まだ我慢できる」と、前兆や初期症状を見過ごしていると、気づかないうちに悪化が進み、回復が遅れたり、重篤な症状になったりするおそれがあるため、早めのケアが大切です。

この記事では、腱鞘炎が起こる原因や、発症したときの効果的なセルフケア、症状をやわらげるのに効果的なサポーターについて、詳しく解説します。

腱鞘炎が起こる原因と注意したいシチュエーション

そもそも、腱鞘炎とは何を原因に発生するのでしょうか。ここでは、腱鞘炎が起こる原因と代表的な症状、腱鞘炎になりやすい人の傾向についてご説明します。

 

  • 腱鞘炎とは

骨と筋肉をつなげる結合組織である腱が複数集まったものを、束ねる役割をしているのが腱鞘です。腱鞘はトンネルのような構造をしており、内部は滑液という分泌液に満たされ、中に包みこんでいる腱が滑らかに動くようにサポートしています。この腱鞘で炎症が起こることを腱鞘炎と言い、発症すると腫れや痛みを伴います。

腱は全身の関節にありますが、特に腱鞘炎になりやすいのが手首や指です。ある動作を長時間、または頻繁に繰り返し、手指の関節の一部分に負担をかけすぎるのが原因で症状が表れます。

腱鞘炎には、指の腱鞘炎であるバネ指(弾発指)と、手首の腱鞘炎であるドゥ・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎=きょうさくせいけんしょうえん)があります。

 

・バネ指(弾発指)とは

指の腱が酷使されるなどの原因でむくんだり硬くなったりして、腱鞘とその中を通る腱が摩擦によって腫れ、炎症が起こった状態をバネ指(弾発指)と言います。

悪化すると、指を曲げた状態から伸ばそうとして力を加えても、腱鞘の中で腱の腫れた部分が引っかかり、曲げ伸ばしがスムーズにできなくなります。指が曲がったままになったり、曲がった状態から急に跳ねるように伸びたりし、その際に強い痛みを伴います。

 

・ドゥ・ケルバン病とは

手首の親指側には腱が2本通っており、この腱の働きにより親指の曲げ伸ばしが可能になります。また、この腱は手首を親指側に立てる動きにも関わります。親指や手首の使いすぎでこれらの腱に負担がかかり、手首の親指側部分が腫れてしまうのがドゥ・ケルバン病です。親指を反らしたり動かしたり、手首を小指側に動かすと強い痛みが生じます。

 

  • 腱鞘炎を起こしやすい人

腱鞘炎は、手指を部分的に酷使して負担をかけることで起こります。そのため、手をよく使う人は腱鞘炎になる可能性が高まります。

例えば、PCやスマホの使用頻度が高かったり、文字をよく書いたりする人は腱鞘炎になりやすくなります。PCは、タイピングおよびマウスのクリックが手指の負担になっています。スマホの過度な利用も同様です。

また、スポーツをする人や楽器を演奏する人も、手指を使って同じ動作を繰り返すことが多く、腱鞘炎発症の原因となる場合があります。

主婦も腱鞘炎になりやすい傾向があります。洗濯や掃除、洗い物など毎日行う家事は、想像以上に手指を使います。育児中なら、妊娠・出産によるホルモンバランスの変化により、発症しやすくなるケースもあります。加えて、子供の抱っこが続くと手指に負担がかかります。40~50代の女性は、更年期を迎えると女性ホルモンのバランスが乱れ、炎症を抑える機能が弱まり、腱鞘炎にかかりやすくなるとされています。

さらに、関節リウマチ・糖尿病・透析患者も腱鞘炎を併発しやすいと言われています。

 

腱鞘炎をやわらげる効果的なセルフケア

腱鞘炎は一度発症すると、完治に時間がかかります。ここでは症状を改善させるために自分でできる対処方法をご紹介します。

 

  • 手を冷やす

痛みやしびれなどの違和感があるときは、作業を止めて手を冷やしてください。湿布や氷で患部を4~5分間冷やすと、痛みが落ち着いてくるでしょう。炎症が起きているときに患部を温めてしまうと、炎症が悪化して痛みがひどくなるおそれがあるので注意が必要です。

ただし、冷やすのは患部のみにとどめましょう。全身を冷やすと、血流が悪化して筋肉が固まってしまうため、腱鞘炎改善にはつながりません。

 

  • ゆっくりと手を動かす

手を酷使せずに休めることは大切ですが、全く動かさないと筋肉がこわばるため、治りにくくなります。痛みがあるときは動かさず、痛みが治まったら無理をしない範囲で手を動かすと良いリハビリになります。ゆっくりと手を握り、開くことを繰り返す簡単なストレッチや、手首のツボ押しなどのマッサージを適宜行い、関節が固まらないようにしましょう。

手首が痛む場合は、手首とひじ間の真ん中あたり(※下の画像赤い部分)で、腕の外側をマッサージして筋肉をほぐすと良いでしょう。親指が痛む場合は、手首とひじの真ん中あたり(※下の画像青い部分)で、腕の内側の親指(右)のほうを、そのほかの指が痛む場合(※下の画像緑の部分)は、小指(右)のほうをマッサージしてください。硬くなった筋肉をほぐし、腱と腱鞘の負担を減らす効果が期待できます。

 

  • テーピングをする

テーピングをすると、患部を保護して腱鞘炎の悪化を止め、痛みを抑制できます。ただし、むやみに固定するのではなく、伸縮性のあるテープを使って患部の動きを妨げないようにしましょう。以下、手首が腱鞘炎になったとき、テーピングを使って親指の付け根を保護する方法です。

 

  1. 親指の第一関節から手首までの長さで親指の太さに沿った幅のテープを用意する。
  2. 親指を軽く曲げた状態で親指の爪下に貼り、軽く引っ張りながら手首まで貼り付ける
  3. 手首を1周する長さのテープを用意する。親指の付け根部分から手首に沿って半周は圧迫するようにきつめに貼り、残り半周は手首を覆うように軽く巻く。
  4. 親指1周分の長さの細めのテープを用意する。「2」で貼った親指のテープの、爪下の先端部分を隠すように1周巻き、テープを固定する。

 

  • 普段の姿勢や手の使い方を見直す

猫背で姿勢の悪い人は、肩こりとともに腱鞘炎を起こしやすい傾向があります。上半身の筋肉は互いに影響し合って動いているため、部分的に無理な力がかかると、他の部分がフォローします。そのため、肩こり・腰痛・腱鞘炎は無関係ではありません。

集中するとつい肩に力が入ってしまう人や、緊張状態で手を握りしめることが多い人は、普段の姿勢や手の使い方を見直しましょう。

 

腱鞘炎をやわらげる手首サポーターの特徴と選び方

手首サポーターをつけると、日常生活で手の不自由を感じないまま腱鞘炎の痛みをやわらげられます。ここでは、手首サポーターの特徴と選び方についてご説明します。

  • 手首サポーターの特徴

手首サポーターを使うと、親指や手首を固定して手の動きを助けます。痛みの度合いや症状に応じてサポ-ターの形や強度を使い分けられ、テーピングと違って着脱が簡単なのも便利です。

サポーターにはさまざまなタイプがあります。プレート内蔵型で手首をしっかりと固定するタイプや、目立ちにくくフィット感の高いタイプ、圧迫感が少なく長時間着用しやすいタイプなど、種類が豊富なので症状や目的に合ったものを選びましょう。

ただし、サポーターの種類によっては、長時間着用していると筋肉を圧迫しすぎて血行が悪くなったり、汗をかいて蒸れたりすることがあります。各製品の注意事項をよく読み、正しく使いましょう。

 

  • 手首サポーターの選び方

手首サポーターには、形・素材・装着感がそれぞれ異なるさまざまな種類の製品があります。腱鞘炎の治療以外には、例えばスポーツをするときに手の動きをコントロールしたり、けがを防止したりするために使われます。

 

手首の痛みを抑えるには、親指から手首までを覆って固定する、ラップタイプのサポーターがおすすめです。厚手で内部にプレートが入っている固定力の強いものや、テーピング感覚で使える極薄・防水仕様のサポーターもあります。

プレートの取り外しができるもの、巻き方を調整できるもの、痛みがあっても片手で簡単に装着できるものなど、それぞれ自分の症状に合ったものを選びましょう。

 

バネ指(弾発指)のサポートに適しているのは、手全体を保護する手袋型のタイプと、痛みのある指の関節にピンポイントで固定するタイプの2種類です。

手袋型は手の筋肉を保護しながら圧迫して血行を促進するので、痛みの緩和以外にリハビリ時にも使用できます。手を洗うときなども着脱がしやすいため、日常生活でも使いやすいのが利点です。一方、指先に巻きつけるタイプは目立ちにくくかさばらないため、手作業の仕事を行う際にも妨げになりません。

また、長期間使う際は、通気性が良く洗えるタイプのものを選ぶと良いでしょう。

 

サポーターを使う際、まずは整形外科や整骨院などで相談し、適したものをすすめてもらうと安心です。症状によっては、治療の段階ごとやシチュエーションごとに、サポーターのタイプを変えて使うほうが良い場合もあります。自己判断で合わないものを使い続けると、症状悪化や別のトラブル発生につながるおそれもあります。自分の症状と痛みの度合いに合ったサポーターを選び、手首の保護と症状の改善に役立ててください。

 

小さな違和感を見逃さず、悪化する前にケアしよう

腱鞘炎は日常生活の中で誰にでも起こりうる症状です。痛みを感じたときはすでに症状が始まっており、日常生活に支障をきたし始めます。悪化が進むと厄介ですが、正しく対処すれば改善できます。手首に異常を感じたら、正しい病状を把握するためにも、薬局や病院などで早めに相談しましょう。その上で、患部を冷やしたり、テーピングやサポーターを使ったりして、悪化が進む前に症状を緩和させておくことが大切です。